その昔、NHKの集金人はやり手だなと思った話です。
私の住んでいたアパート、家電を配置しようとしたら、テレビのアンテナ線のコンセント(?)が見当たりませんでした。壁面を見ても、どこにもない。
大家さんに電話してみたら、「アンテナなんか付けたら、NHKに金取られちゃうよ。室内アンテナつけなさい」と。ちびまる子ちゃんの家のテレビの上にある、あれですね。
仕方がないので、雨降る寒い日に電気屋を探し回って、アンテナを買ってテレビにつなぎました。しかし、映るのはNHK総合テレビだけ。その映りも鮮明じゃない。教育テレビ(Eテレ)は音が聞こえるだけ。民放はどこも白黒の波とザーッという音だけ。
「?」と。
よく考えてみると、建物の場所が北向き斜面の下の方、建物の南側(テレビ塔の役目をしていた東京タワーの方角)には高さ2~3mの崖があり、その上に町工場があるという環境でした。結局、電波の状態がひどく悪くて、室内アンテナでは太刀打ちできなかったようです。大家さんもあんな感じだし、まあしょうがない、とあきらめておりました。
それから約2年後、出かける前にNHK(しか映らない)の情報番組を見ておりましたら、部屋の周りを人がうろうろしている。なんだ?と思ったら、おもむろにドアがノックされました。居留守が使えるような部屋ではなかったので、応答したらNHKの人でした。「テレビ見てますよね。受信料払ってもらいます」と。犯行現場を押さえた警察官みたいな言い方でした。
当時はおとなしかった私でしたが、あんまりだと思ったので、「ちょっと上がって見てくださいよ、これで金取るんですか?!教育テレビも映りませんよ!」と訴えましたら、NHKの方、玄関先で「わかりました、白黒料金でいいですから」と。
時は平成に入っておりまして、白黒テレビなんてないはずなんですが、「まあニュースと高校野球は見てるしなあ。そんな料金システム今でもあるんだ・・・」と止む無く白黒契約で受信料をお支払いしました。
大家の目論見は外れましたが、その後もアンテナはつけてもらえず、白黒料金のお支払いが続くことになりました。
厚かましくなった今の私がそこにいたらどうしていたのやら。。。